くらラボ!ゼミ第2回レポートその1

2016年10月5日に開催した勉強会「くらラボ!ゼミ」第2回「オウンドメディアで地域を元気にする」を2回にわけてレポートします。

まずは、前半の鞍掛のプレゼンテーションです。企業もオウンドメディア活用の時代と題して、企業でのオウンドメディアの活用事例を紹介しました。

情報洪水の時代

1995年にWindows95が発売されてインターネットが一気に普及するに伴い、流通する情報の量は年々増え続けています。下図は平成21年(2009年)と7年前の数字ですが、すでに流通情報量は消費情報量をはるかに超えて、さまざまな情報が溢れる時代、情報洪水の時代になっています。

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情報過多で探し疲れ、それでも評判は気になる

消費者は商品の購入をする時に、自ら手軽に情報を収集することができるようになりましたが、溢れる情報の前に、探し疲れが起きているといます。それでも評判は気になっていて、商品情報よりもネットでの評判を探し回っている状況です。

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良い評判をつくるマーケティング

したがって企業のマーケッターは良い評判をつくることが重要な仕事になってきました。良い評判をつくるにはどうしたらよいでしょうか? そのヒントになったのがジョシュ・バーノフ/テッド・シャドラー著の「エンパワード~ソーシャルメディアを最大活用する組織体制 (Harvard Business School Press)」に掲載されていた2つのマーケティングファネルの図です。従来のマーケッターの仕事は上側のファネルの「購入」までの流れをつくることでした。広告宣伝で認知を高め、購入へつながる販促施策を実施してきました。しかしソーシャルメディアが普及し、消費者がさまざまな情報を自ら入手して、力を得た昨今では、新たに下側のファネルが重要になるということです。

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顧客を「サポート」し、「力を与え」「喜ばせ」「ファンにする」ことがこれから強化すべきマーケティングの施策になります。ファンは継続的に購入してくれ、ファンは見返りを求めずに他者へ推奨してくれます。顧客に「力を与える」のは情報です。企業が顧客に情報をダイレクトに提供するには、自社のメディア、オウンドメディアが有効です。

オウンドメディアとは

マーケティングの用語に「トリプルメディア」というものがあります。「ペイドメディア」「アーンドメディア」「オウンドメディア」の3つです。ペイドメディアは購入するメディアで、いわゆる広告です。TVや新聞、雑誌などマス媒体と言われている既存メディアやネット広告にお金を払って広告を出し、顧客に情報を提供します。アーンドメディアは獲得するメディアで、新聞やテレビ番組、雑誌などに記事として取り上げられることで、顧客に情報提供することです。このメディアはコントロールすることができません。よくアーンドメディアをソーシャルメディアと混同して説明されることがありますが、顧客のソーシャルメディアに取り上げられる場合はアーンドメディアですが、自社の運営するソーシャルメディアは次のオウンドメディアになります。オウンドメディアは自社が管理している、自社でコントロールできるメディアになります。自社のホームページ、メールニュース、自社で運営しているソーシャルメディア、従来からのチラシや自社で発行しているパンフレット、オリジナル冊子などがそれにあたります。

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なぜオウンドメディア?

では、なぜオウンドメディアなのでしょうか? 情報過多の時代に知人や他のユーザーの評判が広告よりも影響力があるわけです。良い評判はファンが発信します。そのためには、良い情報を顧客に与えなければなりません。オウンドメディアを使うことで良い情報を顧客にダイレクトに届けることができます。そして良い情報が顧客に力を与えるのです。さらに、オウンドメディアに用意する自社のコンテンツは情報ストックとして自社の資産にもなっていきます。だからオウンドメディアに力をいれるのです。

力を与える良い情報とは?

顧客に力を与える良い情報とは、

  1. 役に立つ情報
  2. 面白い情報
  3. 話題性のある情報

です。顧客の役に立つ情報の例を紹介します。ヤマハのオウンドメディアのひとつ、Webマガジン「Web音遊人(みゅーじん)」では、お問い合わせ窓口で電話相談が多かったエレクトーンやピアノの発表会の本番で使う靴を紹介してほしいという要望を受けて、靴の紹介記事を掲載し、人気記事になりました。自社製品で靴は作っていないのですが、こうした顧客目線の情報はまさに顧客の役に立つ情報であり、顧客に力を与えます。

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オウンドメディアの連携の必要性

一般的な企業のホームページのアクセスは年々減少しており、掲載されているコンテンツの8割はほとんど見られていないような状況です。ですからオウンドメディアも積極的に告知しなければなりません。広告を使って認知させることも必要となりますし、ソーシャルメディアやメールニュースなど、さまざまな自社のメディアを連携活用させることが重要です。例えばWebマガジン「Web音遊人(みゅーじん)」ではFacebookページをつくり、新規記事が掲載されると、Facebookページにも告知記事を投稿します。またメールニュースでも月に1回、新着記事を告知します。そうした連携によってWebマガジンの情報を顧客に着実に届けるようにするのです。

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このように、情報洪水の時代、良い評判をつくるために自社の持つオウンドメディアを有効活用して顧客に良い情報を提供して力を与え、さらに顧客を喜ばせるさまざまな施策を通して顧客をファンにしていくことが、これからのマーケティングには重要になっていくのです。