マーケッターは編集者にならなければならない!

新製品が黙っていても売れる時代は楽でした。技術屋は新しい技術をうまく加工して商品にする事で差別化ができました。私はそのころ製品設計を担当していたので実体験です。設計者の力で製品が売れていました。

技術が進歩して商品に差がつかなくなると、違う価値を付けなければ売れなくなります。違う価値を付けるためには頭を使わなければいけない。頭を使うのは難しいし、時間がかかります。手っ取り早いのは値段を下げる事。しかしそれは麻薬のようなもの。結局は自らの体を傷つけるのですね。粗利益が減ってしまう。

違う価値には物語が必要です。物語は自ら考えなければなりません。マーケッターは編集者にならなければならないのです。編集者は商品の魅力づけの物語を考えていくのです。

「重版出来!」(じゅうはんしゅったい)をみてください。(『重版出来! 1 (ビッグコミックス)』は、月刊スピリッツ連載の松田奈緒子さんの漫画。2016年4月期にTBS系でテレビドラマ化された。)

編集者が作家をリードして作家の良さを引き出して、売れるものにしていく。編集には愛が必要です。愛のない、やとわれ編集者に任せてはいけません。マーケッター自らが編集者となって愛を示さなければなりません。製品の良さを引き出して、お客さまに響く物語にしていくのです。

ネットで繋がっているお客さまはウソをすぐに見抜きます。美辞麗句を並べるのは邪道。ウソのない物語で愛を語らなければなりません。あばたを隠さなければ売れない商品は残念ながら隠し続ける限り売れません。これも私は体験済み。製品開発でちょっとヤバいけど、コストや日程を考えてあきらめてしまった事は、お客さまが必ず気がついて、それが理由で結局は売れなくなってしまうのです。

ウソのない物語を作るには、現場にいかなければなりません。工業製品ならば、開発者に会って思いを聞き、工場に行って作られる過程を見て、生産者と話をしてそこから感じる製品への愛情を物語にしなければなりません。机上で想像で議論をしている時間があるのなら、会議はすぐやめて、外に出て現場を見てきた方が良いです。これも体験済み。百聞は一見にしかず。ビデオも空気や匂いや熱量は記録できません。映像を見て知ったつもりになっていた事が現場に行って空気を感じて、ぜんぜん違っていた事に気づきました。現場に行くことがマーケッターには必須なのです。

一方的な話は疲れます。聞いているのは疲れます。自分もひとこと言いたい。だからお客さまにも話させる機会を作りましょう。お客さまの声を聴き、お客さまと共に共創する事が差別化要素になる時代でもあります。物語もお客さまと一緒に作れば良いのです。そのためには愛の溢れるお客さまと仲良くならなければなりません。製品を愛してくれているお客さまに会いに行きましょう。お客さまと合コンしましょう。そのためのCRMであり、企業コミュニティです。

マーケッターは製品を愛し、編集者になって、現場を取材し、お客さまと語らい、一緒に楽しみ、愛の溢れる物語を作って発信をすることが、何よりも大事だと思うのです。

マーケッターは編集者にならなければならない!