ファンをつくる『くらかけ屋』

購入したあとの顧客ケアこそがCRM戦略

企業にとってウェブサイトは当初、ほかのメディアと同じように企業側からの発信メディアととらえられていました。企業はわれ先にとホームページをつくり、従来のメディアと同じようにカタログやチラシをホームページに移し替えていたのです。情報は企業から顧客に向かって一方的に発信されていて、企業側には情報をコントロールする力がありました。

ところがブログやソーシャルメディアが登場すると、状況は一変しました。ブログやソーシャルメディアは専門知識が必要なく、誰もが容易に情報を発信できるようになり、それらの情報が人から人へ、高速で伝わっていくようになったのです。

人々は製品やサービスの評価を自ら発信し始めました。製品やサービスで良い経験を得れば、その喜びを人々は発信します。一方嫌な経験をすればその思いを隠すことなく発信します。口コミはインターネットの力を得て、高速に広範囲に拡散し、一度拡散されると削除することは不可能になりました。

顧客は企業からの一方的な情報だけでなく、ブログやソーシャルメディアからの情報を収集するようになり、企業側はかつてのように情報をコントロールできなくなりました。

ジョシュ・バーノフ、テッド・シャドラー著の「エンパワード~ソーシャルメディアを最大活用する組織体制 (Harvard Business School Press)」では新しいマーケティング・ファネルが提示されています。今までのマーケティングは上側のファネルに注力してきました。いかに製品やサービスを「認知」させ、「検討」させ、「選択」してもらって、「購入」に結び付けるかに注力して販促・宣伝の施策を練ってきました。いわゆるAIDMAの法則です。

しかしネットにより力を持った顧客に対しては、下側のファネルの施策が重要になります。企業は顧客をしっかりと「サポート」し、あらゆる情報を開示して「力を与え」、購入後に「喜ぶ」施策を打ち、ブランドの「ファン」になってもらうようにします。製品やサービスを購入してくれた顧客がファンになれば、顧客は「発信する力」を使って、企業にとって望ましい発信をしてくれます。発信された情報は従来の一方的な企業側からの情報よりもはるかに「影響力」を持って拡散され、新規顧客を集めてくれるのです。

つまり購入前の販促・宣伝の施策だけでなく、購入後の「顧客ケアの施策」にも注力しなければならないということです。まさにこの下側のファネルの施策こそがCRM戦略になると考えます。

●「エンパワード~ソーシャルメディアを最大活用する組織体制 (Harvard Business School Press)